公立学校で聖書の授業を義務化。従わない教員は「免許はく奪」の可能性も。米オクラホマ

    米オクラホマ州の公立学校で、「聖書を扱う授業の義務化」を教育長が通達した。教育長はキリスト教右派を支持基盤とする共和党から選出されており、「政教分離に反している」と批判が上がっている。

    米オクラホマ州で、聖書を扱う教育の義務化が進んでいる。同州の教育長、ライアン・ウォルターズ氏が6月27日、「聖書の内容を取り入れた授業を義務づける」と公立学校に通達した。

    ネットでは「政教分離に反している」「教育レベルの改善にはつながらない」など、批判が上がっている。

    ウォルターズ氏は、5〜12年生(11歳〜18歳)のカリキュラムに聖書の内容を扱う授業を導入するよう、会見で提唱した。

    「聖書は、わが国の歴史や西洋文明、基本的な法体系に関して、子どもたちの理解を助けます。わが国の誕生の礎である合衆国憲法にとっても、歴史的に重要な書物です」

    「本日、すべての学区が遵守すべき覚書を通達します。内容は、州内すべての教室に聖書を置き、すべての教師が聖書にもとづいた教育をすることです」

    ウォルターズ氏は、時事解説誌 U.S.News & World Reportの取材に応じ、義務化に振り切った背景に、「ルイジアナ州の事例」と「トランプ前大統領からの支持」をあげた。

    ルイジアナ州では5月、公立学校の教室に「モーセの十戒」の掲示を義務付ける州法が成立。

    トランプ前大統領は、自身のXでウォルターズ氏の名前を挙げ、義務化を支持した。

    その後、ウォルターズ氏はNBCのインタビューで、「今回の義務化に従わない教師は、教員免許をはく奪される可能性がある」と示唆した。

    ウォルターズ氏は、会見の一部を抜粋し、自身のXに掲載。しかし、コメント欄には批判が寄せられた。

    Oklahoma kids will learn that the Bible and the Ten Commandments are foundational for western civilization. The left is upset, but one cannot rewrite history. pic.twitter.com/iZKhv9tKoc

    — Superintendent Ryan Walters (@RyanWaltersSupt) June 27, 2024
    @RyanWaltersSupt

    ウォルターズ氏は、キリスト教右派(福音派)を支持基盤とする共和党から選出されており、「政教分離」の基本原則に反するという旨だ。

    また、U.S.News & World Reportによる最新の統計では、オクラホマ州の教育レベルは、全米50州中49位だった。

    聖書の義務化が「はたして教育レベルの底上げにつながるのか」と疑問もあがっている。

    💬「間違った方向に進んでいる。公立学校でやるべきことじゃないでしょ。政治がイデオロギーを押しつけるべきではない」

    Twitter: @BurtMaclin_FBI

    💬「学校は、基本的な教育をすればいいだけです。なんでこんな簡単なことがわからないのか?」

    Twitter: @itmatters2me3

    💬「全米50州中49位の学力であるオクラホマ州の授業に、聖書がどう役立つというのか」

    Twitter: @mutabi

    💬「なぜオクラホマ州の教育レベルが全米49位なのか、これでよくわかったよ」

    Twitter: @TraciiGuns

    この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:髙島海人