WEDDING / FEATURE

植野有砂のセルフプロデュースウエディング──「自分らしさ」が詰まったドレス選び、パートナーとの円満の秘訣を語る

コンテンツクリエイター・DJとして活躍する植野有砂が、8年の交際期間を経て恋人のマイルズと結婚。「NASU FARM VILLAGE」にて、「自分らしさ」を大切にしたガーデンウエディングを行った。ドレスやブーケ、ケーキ選びなど、こだわりが詰まった挙式までの道のりに加えて、パートナーとの円満の秘訣をインタビュー。

──栃木県大田原市にある「NASU FARM VILLAGE」をウエディング会場に選んだ理由から教えてください。

最初はホテルでするのもいいかなと思っていたのですが、ホテルでの式は色々と決まってしまっているパッケージプランがほとんどだったので、自分たち発信でやりたいことが多すぎる私たちにとっては難しいことが多かったんです。どうしたら良いかをプランナーさんと相談をしたところ、「NASU FARM VILLAGE」を提案していただきました。会場として借りることができるので、例えばケーキやドリンクなど持ち込みもできるのが最大のポイントでした。

実際に現地に行ったらものすごく素敵できれいなところだったので、「ここにしよう!」と即決めました。結婚式場を探すというよりも、イベントの会場探しに近かったかもしれません。

──結婚式の準備で一番こだわった点は?

お花ですね。もともとお花が大好きなのと、お仕事で海外に行かせていただく際など、イベント会場のお花の装飾が本当に素敵で、私もお花には絶対にこだわりたいと思っていたんです。ただ、そんなお花へのこだわりが強すぎて、ホテルでの挙式は難しいというのもありました。

憧れだったガリア・ラハヴのウエディングドレスを選んだ理由

──ドレスガリア・ラハヴGalia Lahav)のマーメイドを選ばれていましたね。

もともとガリアに対する憧れがあったので、最初からドレスはガリア・ラハヴと決めていました。ウエディングドレスというのはものすごく非日常なものですから、実はみんなあまり詳しくなかったりすると思うんです。私もガリア・ラハヴのドレスはものすごく素敵だというのは知っていましたが、実際にはあまり分かっていませんでした。

──ではなぜ選ばれた?

先輩花嫁さんたちがみんな「ガリアは質もデザインも、本当にすごいから」って口を揃えて言うんです。みんなが口を揃えて褒めるので、やっぱり相当素敵なんだろうなと思ってからは、欠かさずチェックをしていました。そうするうちに憧れが募っていったんです。

──「この一着!」と思った決め手は?

ドレスは実際に着てみると、「ビビッ」ときて本当に似合う1着が分かるって言いますけど、私の場合はどれも可愛すぎて「あれも」「これも」となって、1着を選ぶのは本当に大変でした。試着した当日はその場で決めずに、一度家に帰って試着した写真を見返してからやっと決めました。私自身すごく派手好きなので、決め手となったのはレースとチュールが両方あしらわれた欲張りな感じがするデザインだったから。「私っぽいドレスだ」なと感じたからです。

ケーキもブーケも「有砂っぽい」と思ってくれるものを

──ブーケもケーキもご自身の大好きなお店で選ばれたんですね。

はい。ブーケは私の大好きな「HANANOHANA」に作ってもらい、ケーキは原宿の「MARINE HOUSE」にオーダーしました。当初はケーキカットとかはいらないかな、なんて思ったりもしていたのですが、せっかくみなさんに来ていただくわけですし、どうせだったら随所で「有砂っぽい」って言って楽しんでもらえる式にしたいなと思い、ケーキもピンクでパールとキラキラがついた可愛い感じにしていただきました。正直旦那さんのことなどは一切無視で、全部私の好きなようにやらせてもらいました(笑)。

エンゲージリングは家族の間で長く受け継がれてきた大切な逸品

──エンゲージリングとマリッジリングのブランドは?

エンゲージリングは、夫のマイルズのお母様から受け継がれたリングです。マイルズからは「好きなようにリメイクしていいよ」と言われたのですが、ヴィンテージっぽくてすごく可愛かったのと、やっぱりお母様から受け継がれた大切なものなのでデザインは変えたくないなと思ったので、そのまま大切にしています。今後、自分たちの家族ができた時にもファミリーリングとして受け継いでいけたらいいなと思ってます。

結婚指輪はティファニー(TIFFANY & CO.)のジャン・シュランバージェがデザインしたもので、ゴールドとシルバーがミックスされたデザインが気に入って選びました。結婚指輪ってシンプルなデザインのものを選ぶ人が多いと思うのですが、毎日着けるものなので、私は目で見て可愛いのがいいなと思ったんです。旦那さんのルーツがアメリカなので、アメリカのジュエラーであるティファニーがぴったりだなと。でも本当は、ヘイリー・ビーバーが着けているのを見て、めちゃくちゃ可愛いなと思ったというのもあります。

──結婚式をするにあたり、マイルズさんからは「これだけは譲れない」というような意見はありましたか?

それが何にもなかったんです。私が勝手に色々と進めていた中で、プランナーさんから「そろそろ旦那様もいらした方がいいかもしれませんね」と言われて、「来たほうが良いみたいよ」って言ったら、「分かった」ってその位でした。

──式でのお食事やドリンク、あるいは自分の衣装についてご意見は?

彼はあまり我がない人なので、「有砂の好きにやったらいいよ」という感じだったので、その言葉に甘えてやりたい放題でした(笑)。

「相手をリスペクトする心を持つことが大切」

──お二人の出会いは?

共通の友だちに紹介されたのが出会いです。でも、そのときは本当に挨拶をした程度だったのですが、その1カ月後位にまた別の友だちを介して、たまたまLAで再会したんです。そのときに、「あれ? もしかしてこの前の」という話から仲良くなりました。彼は当時LAに住んでいたので、また東京で遊びましょうというのが始まりでした。その頃から彼はすごく穏やかで、優しい人でした。

──8年の交際を経て結婚されましたが、パートナーとの円満の秘訣は?

私たちの場合は本当に私がワーワー言って、彼が徹底して聞き役に回ってくれるので、ケンカもしたことがないんです。なので、参考になるかは分かりませんが、日常生活においてもお互いが得意なことをやって、そこは尊重しあうみたいな関係ができあがっている。結局、相手をリスペクトする心を持つことだと思います。

──結婚式の準備で一番大変だったことは? これから予定をしている人たちのアドバイスも合わせて教えてください。

超リアルな話になりますが、やっぱり予算と時間です。やりたいことと予算がうまくかみ合わなかったり、自分でやろうと思っても結局時間が許さず、最後の最後でプランナーさんにお任せすることになったり。本来自分が楽しんでやっていたはずなのに、突然「やることが多すぎる」「間に合わない」と思って、心が病んでしまった時期もあったくらいです。仕事をしている中で準備をするというのは本当に大変なことだと実感��たので、自分の中でどうしても譲れないところをいくつかピックアップし、あとはプロにお任せすることも大事なんだなということを学びました。

そして、私もドレス選びだけでも迷ったように、結婚式の準備には選択を迫られるシーンが多々あります。その選択で迷わないように。例えば自分の好きな色や好きなお花、好きなドレスのデザインや装飾などを、ある程度イメージしておくといいのではないかと思います。時間があるときにPinterestで海外の挙式やパーティの写真をチェックしたりしてみると自分の好みが分かってくるので、迷ったときに選びやすくなると思います。

「お互いの親や親せきとも家族になったというのが一番大きな喜びですね」

──植野さんにとって結婚とは?

多様性の時代ですし、どういう選択をするかは本当に個人の自由なので、その人にとって最良だと思える関係でいるのが一番。結婚はシステムだと思うので、結婚という形にこだわる必要もないと思うんです。ただ、なぜそう思いながらも私がそこにこだわったのか? それは、確約が欲しいと思ったからです。私にとってマイルズは人生2人目の彼氏ですが、最初の彼氏とは2カ月ほどしか付き合っていないので、実質マイルズが初めての彼氏と言っていいくらい、交際経験がないんです。そのせいか、自分では今後も彼とずっと一緒にいるのは分かっているのに、自信がもてなかった。世の中のカップルってこんなに愛し合ってるのに別れてしまう人もいるんだ、と思うと不安で、そのための確約が結婚だったんです。

──実際に結婚されてどうですか?

長く付き合っているので、入籍したからといって何かが変わったわけではないのですが、お互いの親や親せきとも家族になったというのが一番大きな喜びでもあります。その一方で、私は母が大好きなので、実家のお墓に入りたいと思ったりもするけど、結婚をして一度家を出た人は母と同じお墓に入れないのかなとか、考えたりもしますけど(笑)。でも、私の場合は自分が抱いていた不安がなくなったので、結婚をして良かったなと思っています。

Photos : Courtesy of Alisa Ueno Text: Rieko Shibazaki Editor: Mayumi Numao

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